1.脊柱変形とは?|脊柱変形総論Spinal deformity
1.脊柱変形とは?
脊柱とは
人間のせぼね(脊椎)は頭側から頚椎・胸椎・腰椎・仙椎が椎間板というクッションを挟み積み重なって形成されています。この積み重なった全体を背骨の柱、脊柱と呼んでいます。正常の脊柱は左右には弯曲はなく真っすぐですが、前後方向には弯曲が存在しています。腰椎は前方に、胸椎は後方に、頚椎は前方に弯曲しています。
変形の種類と原因
脊柱が正常とことなり曲がった形となることを脊柱変形といいます。左右方向への弯曲を側弯といい、前後方向への弯曲を前弯・後弯といいます。弯曲変形の原因に関しては大きく2つに分かれます。ひとつは小児期の側弯症や先天的な変形が遺残したものです。これらの側弯症が年齢とともに弯曲が進行し症状をきたすことがあります。もうひとつは年齢ともに椎間板や椎体が変性し脊柱の弯曲の悪化が出現することがあります。近年では骨粗鬆症に伴う椎体骨折に関連した脊柱の後弯が増加傾向にあります。
脊柱変形の症状
脊柱変形をきたすと弯曲に伴う腰背部の痛みが出現します。特に後弯症では歩行時に前傾姿勢が強くなり、腰背部の重い痛みにより長時間の立位や歩行が困難になります。脊柱の変形により神経障害を起こし、足のしびれや痛みが出現することもあります。
また、脊柱の変形により腹部の圧が高くなり、逆流性食道炎という症状をきたし腹部不快感が出現するなど内臓症状に関連することもあります。脊柱変形の状態は慢性の心疾患や肺疾患と同じぐらい日常生活の質を下げるという報告もあります。
脊柱変形の治療
進行した脊柱変形に対して現在のところ有効な保存的治療に関しては確立されたものはあります。そのため筋力維持や骨粗鬆症治療により変形の予防が重要となります。進行してしまい日常生活に支障をきたす場合は手術治療が選択されます。一般的に手術は脊椎骨にスクリューを挿入し弯曲を矯正しロッドで固定する手術が行われます。