最新の治療紹介Latest treatment introduction

最新の治療紹介

 成人脊柱変形手術は近年一般的なものとなってきています、問題となるのはその高い侵襲です。2000mlを超える出血も稀ではないと思われます。その侵襲を低くするために浜松医科大学附属病院では積極的にLateral lumbar interbody fusion(LLIF)を用いて2期的に手術を行うようにしています。もちろん局所の強い変形やrigidな変形を呈する症例では骨切り手術が必要です。しかし、多くの症例では骨切り手術を行わないで、先述のLLIFを用いた2期的手術で対応可能です。当院で行われている具体的な方法を紹介します(図1、術前)。

 まず、腰椎にLLIFを行います(図2)。後方からの椎体間固定の数を減らすと同時に側弯の矯正も行えます。

 次に2期目の後方矯正固定術は1週間後に行います。その間の1週間の内に神経症状の改善具合や固定範囲の決定のため全脊柱X線写真でのアライメントの変化などのチェックを行います。LLIF前にあった神経症状の改善が得られていなければ、2期目の後方手術の際に症状の原因となっている神経や神経根を除圧して入念にチェックを行います。神経症状が消失していているようなら、基本的にL5/SのみPosterior lumbar interbody fusion (PLIF)あるいはTransforaminal interbody fusion (TLIF)を行います(図3)。

この結果、PLIFあるいはTLIFを行う椎関数の減少に伴い出血量は大幅に減少し、当院では以前の出血量の半分となりました。
しかし、今なお成人脊柱変形手術は多くの術中、術後合併症が認められ課題の多い手術です。しかし、医療の進歩により、さらに侵襲は少なくなっていくことが期待できる分野でもあります。これからも最新のよい治療を紹介していきたいと思います。